黒ずんできた前歯の見た目をどうするか。これが私の次の課題となりました。
歯科医院の先生が教えてくれたのは以下のような選択肢です。
・削って差し歯を入れる。ただ、歯を削ってしまうと土台が弱くなってしまい、歯がもろくなってしまう可能性がある。
・歯の表面に特殊な液体を塗り、ライトを当てて固めて白くコーティングする。ただ、下の歯の黒ずみが進行すると色が透けて見えてきてしまう可能性がある。
私はとりあえず後者を選ぶことにしました。
「神経を抜いたといってもみかけは普通の歯だし、削ってしまうのはもったいない」と思ったからです。
たった2日で表面がはがれる
液体を塗って表面を白くする処置は短時間で終わりました。鏡を見てみると、うっすら歯の黒さが透けてはいるものの、まあまあ満足できる白さに仕上がっています。
「これならみかけは普通の歯と変わらないな」
私は満足して帰宅しました。ただ、その2日後、思わぬ出来事が起こりました。
歯を磨いていると、口の中に何か硬い物があたりました。吐き出してみると、プラスチックのような白くて薄い破片でした。
鏡を見てみると、何と処置したはずの前歯のコーティングがはがれているではありませんか!きっと歯磨きの時の衝撃で剥がれてしまったんだと思います。
「何だこれ・・・」。私は驚くと同時に、コーティングのあまりのもろさに失望しました。
こんなことでは、また歯医者に行って処置してもらっても遠からず、はがれてしまうのは目に見えています。
別の歯医者に行ってみる
腹を立てている私を見て、妻がこんなアドバイスをくれました。
「そのコーティングの技術自体が古いんじゃないの?他の歯医者にも行って意見を聞いてみたら?」
妻はそう言って、自分が通っている歯医者がなかなか評判が良いことを教えてくれました。
「確かに・・・」。私の行きつけの歯医者はもう15年以上もお世話になっているところですが、いかんせん、設備が古く、最新の治療技術を取り入れているという感じもしません。
中年男性は一度良いと感じると行きつけの店などをなかなか変えない傾向があるといわれますが、私はこのときばかりは妻のアドバイスに従うことにしました。
転倒して前歯をだめにしてしまったことをきっかけに歯の大切さに目覚めたことも大きいと思います。
イケメン医師
その翌日、私はさっそく、妻が通っている歯医者を予約しました。運良く、院長に診察してもらうことができることになりました。
歯医者はオフィス街の真新しいビルの地下にありました。私の通っていた古いビルの一室にある歯医者とは印象がだいぶ異なりました(新しいからいいというわけではありませんが)。
出てきた院長先生は30代半ばくらいのイケメンでした。私はこれまでの経緯を説明し、前歯の処置を改めてどうしたらよいか聞きたいことを伝えました。
「わかりました。それではまず、レントゲンを撮りましょう」。先生にこううながされ、私はレントゲン室に向かいました。
院内は広々としていて、設備も最新式のものがそろっているようでした。
「ここならちゃんと治療してもらえるかもしれない」。私は少しホッとしました。
奥歯の虫歯が発覚
レントゲンを撮り終えて診察台に戻った後、私は改めて前歯について説明を受けました。
「コーティングはやっぱり強度が弱いんですよ。私だったら削って差し歯にします。そのほうが結果的に安定するし、見た目もよくなります」
先生はこんなアドバイスをくれました。
「それはそうと、かぶせ物がしてある奥歯のほう、こちらもけっこうひどくなっていますね。こちらの治療のほうはどうしていたんですか?」
「は?」私は先生の言っていることがよく飲み込めませんでした。
たしかに私は数年前、海外に駐在していたときに、ストレスによる食いしばりが原因で右側の1本の奥歯の神経がだめになってしまいました。
ただ、現地の病院で今回のように神経を取り、かぶせ物をするという治療をしていました。
帰国して6年以上たちますが、そこに虫歯ができているというのは全くの盲点でした。
「けっこう虫歯がひどくなっているみたいで、骨がけずれていますよ。前の病院のほうでは指摘してもらえなかったんですか?ちょっと問題ですね」
私は病院を替えたことを正解だったと感じる一方、また歯の問題が1つ増えたことに新たな不安を感じ始めました。
次回へ続く。
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