虫歯になった奥歯を抜いてインプラントにすることを決意した私は、改めて治療の予約を取りました。
奥歯の場所は右側の奥から2番目。ちょうど物を噛んだりする時によく使う歯です。
海外赴任をしていたときに神経がだめになってしまい、それ以来、被せ物をしていましたが、それをいよいよ取る日がやってきました。
ドライバーのような器具
歯科医院の先生は被せ物を取ると「あー、これはかなりひどいですね。虫歯でかなり黒ずんでます」と一言。
不安がかなり掻き立てられます。
それから歯の周辺に麻酔を何回か打たれました。だんだん感覚が鈍くなってきます。
それから先生はドライバーのような器具を使い、歯の奥に入れてぐりぐりやり始めました。
「めりめりっ」
そんな感触と共に、歯が骨からはがされていく実感がしました。麻酔のせいか、痛みはさほど感じませんでした。
虫歯だらけの歯
「取れました。これが奥歯です」
先生はそういって、少し血のついた歯を私に見せてくれました。
歯の高さは思ったよりもずいぶん低く、しかも表面はかなり黒ずんでいました。
「虫歯で歯がかなり削られてますね。さらにその虫歯が歯を伝って、その下の骨まで侵食しています」
被せ物をしていたのでこの7年間ほど何が起こっているか全く見えませんでしたが、かなりひどい状態になっていたようです。
骨を育てる薬
「これから歯を抜いた後の骨の上に、骨を人工的に育てるための薬を入れます」
先生はそう言って薬を入れた後、皮膚を縫いあわせ始めました。
骨を人工的に育てる理由は、いざインプラントを入れる際に、骨に十分な高さが無いと、インプラントの金属の部分があごの神経に当たってしまうリスクがあるためです。
「3ヶ月くらい立てば、ある程度育つと思います」。先生からはこう言われました。
「こんな方法があるのか」。私は現代の医療技術の進歩に改めて感心しました。
奥歯がない違和感
一連の処置は無事に終了しました。
先生からは「これから痛みが少し出てくると思いますので、ロキソニンと抗生剤を飲んでください」と指示を受けました。
帰宅したのち、確かに痛みが出てきたので薬を飲んだところ、かなり和らぎました。
でも痛みよりもより強く感じたのは、これまであった奥歯のない違和感です。私は特に右側で物を噛む癖があるためか、その部分で物を噛めない不便さはかなりのものです。
味覚が変わってしまった
さらに気づいたのは歯を抜くと、味覚の感じ方が変わることです。一言で言うと、美味しさを感じるスペースが歯を抜いた分、失われてしまったという感じでしょうか。
「きっと歯をたくさん抜いて入れ歯にすると食事はおいしく無くなるだろうな・・・」
歯医者の考える歯の価値は1本104万円ーー。ネットで見た記事が再び私の頭をよぎりました。
虫歯だらけの歯でしたが、自分の歯を失うことがどれほど大きな損失かということを、私はしみじみと実感することになったのでした。
コメント